第25章 ♠お片づけ
主演男優賞にノミネートされた俳優陣の名前が次々と呼ばれ、
『二宮和也』
名前が呼ばれた瞬間、誰かがゴクリと唾を飲み込む音が聞こえた。
壇上で司会者からインタビューを受ける和。
その顔はいつも見馴れた“嵐の二宮和也”の顔ではなく、“俳優二宮和也”の顔をしていた。
飄々とした雰囲気はいつもと変わらない。
でも普段は見せない、どことなく凛とした表情…
ぼくたちは祈る気持ちで、画面の向こうにいる和を見守った。
そして遂に発表の時がきた。
「最優秀主演男優賞『二宮和也』さんです」
その瞬間、ぼくたちはまるで声を無くしてしまったかのようだった。
誰も声を発すること無く、堂々と受賞の喜びを語る和を食い入るように見つめていた。
ふと、相葉ちゃんを見ると、真っ赤に紅潮した頬を、いく筋もの涙が濡らしていた。
「お前が受賞した訳じゃないのに、なんでそんな泣いてんのよ?」
最初に口を開いたのは松潤だった。
揶揄うように言った松潤の目もまた、涙で潤んでいた。
突然ぼくの目の前を白いヒラヒラとした紙が覆った。
翔くんがぼくにティッシュを差し出していた。
「えっ、なに?」
「ヴィジュアル、ぐちゃぐちゃになってるよ?」
気付かないうちに、ぼくも泣いてたみたいで…
でも、そう言った翔くんだって、ぐちゃぐちゃなってるよ?