第25章 ♠お片づけ
その後、共演の俳優陣もノミネートされたものの、受賞には至らなかった。
あの小百合さんですら、受賞出来なかった。
ぼくたちのテンションは徐々に下がり始めた。
それもそうだ…
和と一緒にノミネートされた俳優さんの顔ぶれたるや…
それこそぼくたちからすれば、雲の上の存在に等しい位の、ベテランばかり。
その中にいる和は、ある意味異質な存在なのかもしれない。
どれだけ映画が評価されたって、所詮和はアイドルなんだから。
でも、まったく希望が持てないわけでもない。
去年主演男優賞を受賞した岡田っちだって、アイドルであることは紛れもない事実で…
それを思えば和にだって、受賞のチャンスがない訳ではないんだ。
「飲み物、用意するね」
松潤が席を立ち、キッチンへ入った。
暫くするとコーヒーのいい香りがリビングに漂った。
テーブルに並べられた揃いのマグカップ。
赤、青、緑、紫、黄…
何故かここにいない筈の和の分まで用意されてる。
松潤も心ココにあらず、って感じなんだろうな…
それは翔くんも、勿論ぼくだって同じだ。