第25章 ♠お片づけ
コタツに潜り込んで、アイスの蓋を開けた。
スプーンに一口掬って口に入れると、冷たさと甘さが口に広がった。
「あ、ねぇみんな、もうそろそろ始まるよ!」
時計を見ると8時55分。
それぞれ作業の手を止めてコタツに集まってきた。
翔くんがテレビのリモコンを手に取った。
「いよいよ…だね」
松潤の言葉に、メンバーみんなが息を呑んだ。
多分、相葉ちゃんが一番緊張してるんだろうな…
だってまだ始まってもないのに、目が潤んでるもん。
テレビの画面に映る陽気なCM。
今はそれにすら苛立つ。
ぼくの手の中のアイスがすっかり溶けていた。
「始まったよ」
翔くんの声に、ぼくは思わず姿勢を正した。
それは他のメンバーも同じだった。
華々しいオープニングと共に、ノミネートされた俳優陣が登場する。
続々と登場する曹操たる顔ぶれ。
その中に和の姿があった。
一瞬身を乗り出す相葉ちゃん。
「和、緊張してる」
そう口にする事で、今にも駆け付けたい気持ちを抑えてるように見えた。
「華ちゃん、新人賞だって。凄いじゃん」
和が共演した女優さんが、賞を取ったってことは、それだけ和の映画が高く評価された、って事にもなる。
壇上の華ちゃんに拍手を送る和の目が、心なしか潤んでいた。
ぼくたちも画面に映る華ちゃんに、惜しみない拍手を送った。