第21章 ♦約束が・・・
電話で日記のことを伝えると、和も思い出したようで、俺は仕事の帰りに和の部屋を訪ねることを約束した。
和のマンションの地下駐車場に車を停めると、俺は預かっていた合鍵を使って和の部屋に入った。
リビングのドアを開けると、テレビの前に設置されたコタツに猫背の男が一人。
その手にはゲームのコントローラーがしっかり握られている。
よっ、と声をかけると、おぅ、と声が返ってきた。
俺は和の斜め向いに座った。
ゲームが一段落するまで待つのは、いつの間にか俺達の間に出来たルール。
「よし、クリア! セーブだけしちゃうから、ちょっと待ってて?」
俺は軽く頷いて席を立った。
キッチンに入ると、冷蔵庫から缶ビールを2本取り出し、それをテーブルに置いた。
「おっ、サンキュ」
和が1本手に取り、プルタブを引いた。
プシュッと小気味いい音を立てながら、白い泡が溢れた。
お互いの缶を軽くぶつけ、乾杯を交わす。
「今日泊まってけんの?」
「そのつもりだけど?」
だって日記見ながら、思い出語りたいじゃん?
和が口角を上げて、ニヤリと笑った。
語るのは“思い出”だけじゃない、ってことね…?