第21章 ♦約束が・・・
和也side
「んで、持ってきたんでしょ? 早く出しなさいよ」
目の前で手をヒラヒラさせてやる。
ちょっと待ってて?、と潤のカバンから出てきたのは、薄茶に変色した1冊のノート。
なんとも味気ないブルーの大学ノートの表紙には、確かに
『じゅん と かず の こうかんにっき』
って、汚ったない字で書いてあった。
「和、覚えてる?」
聞かれるけど、全然記憶に無いのが正直なところで…
「潤は覚えてんの?」
「いや、全く記憶にない」
結局俺達、どっちも忘れちゃてんじゃん(^_^;
「ま、取り敢えず見てみましょうか?」
潤がノートの表紙に手をかけた。
「なんか、ドキドキしない?」
確かに潤の言う通りでさ、これって言わば俺達にとっちゃ“タイムカプセル”的なモンでさ、変な緊張感あんだよね。
何書いたか、お互いに忘れちゃってるから尚更ね?
「い、いいから早く捲んなさいよ?」
おぅ、と潤が大きく頷いて、漸くノートの表紙が捲られた。
ゴクリと、どっちのモノか分からないけど、唾を飲んだ音が聞こえた。
多分、2人同時だったんだろうけど。