第20章 ♦時計が・・・
翔side
うぁぁぁ、どうしよ〜〜!!
「ね、どうしたの、翔ちゃん?」
呑気に俺の足に腕を絡めて来る雅紀を、ポンッと押し退けると、俺は猛ダッシュで書斎に向かった。
落ち着け~
落ち着け〜
自分に言い聞かせた。
愛用の鞄を手に持つと、リビングで呆気に取られる雅紀に、
「行ってくる」
と言って、頬にチュッとキスをした。
「お前も早く準備しろよ? 時計、狂ってる」
そう、時計は約1時間も狂っていた。
「へっ? うっそ!」
寝っ転がったまま、時計に視線を向ける雅紀。
安心しろ。
お前はまだ間に合う。
「時計、直しとけよ」
「う、うん直しとく。
けど、翔ちゃん…………その格好で出掛けるつもり?」
へっ?
どんな格好よ?
リビングのドアノブに手をかけ、自分の姿を確認する。
ぬォォォォッ!!!
なんてこった!