第12章 ♣あの娘が・・・
智side
か、かわいいって…
言われたって分かんない。
だって本当の自分は、くたびれた服を着て、いつも眠たそうな顔しててさ、どこにでもいる野暮ったい男たもん…
確かにさ、“智子ちゃん”の自分は、正直かわいいと思うけど…
それに櫻井さんのこと…
たった2回しか会ってないけど、好きな気持ちは本当だし…
あぁ、もうどうしたらいいか分かんないよ〜(泣)
「…ちゃん?
大丈夫? 智子ちゃん?」
パッと顔を上げると、今にも触れてしまいそうなぐらい、近くに櫻井さんの顔があって…
そしたらホッペに暖かい物が触れて…
でまた、目の前に今度は恥ずかしそうに顔を赤く染めた櫻井さんの顔があって…
で、今度は唇に何かが触れて…
えっ…?
えぇぇぇぇぇっ!?
これってまさかの…?