第3章 〜一味との時間〜
ルフィの視線の先にあったのは、民族雑貨店……?
看板にはそう書いてある。
怪しくない、と言えば嘘になるが正直おもしろそうだったのでルフィに言われるがまま店に入った。
エ「これは………」
ル「は〜〜おもしれぇもんがいっぱい置いてあんな〜」
面白い、と言えば聞こえは良いかもしれない。
実際は面白いというよりは怪しくて不思議なものばかりである。
だが、ルフィは興味津々のようで店内をキョロキョロと見回している。
ル「なぁエミリ!!これなんかどうだ!!?」
エ「なんです…うわっ!!?」
ルフィに呼ばれ振り返ってみると、そこには民族のお面を付けたルフィがポーズを取りながら立っていた。
エ「び、びっくりした……似合わないことはないですけど、心臓に悪いです」
ル「そうかァ?んー……」
そう言って違うお面を漁り始める。
どうやらこの店は衣装やお面だけじゃなくて腕輪やネックレスなどのアクセサリーや、薬や香水のような物も扱っているらしい。
エ「ん?何だろうこれ…香水かな?」
棚の商品を眺めていた私の目に、1つの小さなビンが止まる。
そのビンは5センチ程の大きさでビン自体は淡い水色、中の液体はうすいピンク色をしている。
エ(きれい……)
ビンを摘まみ上げ光に透かす。
蓋を取って匂いを嗅いでみると甘酸っぱい柑橘系の匂いがした。
頭の奥に染み込むような甘い香りは、私の心までも甘くしてくれそうだった。
でも、香水にしては匂いがそこまで濃くないな…。
老「お嬢ちゃんここらじゃ見掛けないね。旅のお方かい?」
声のした方を見てみるとそこにはカウンター奥の椅子に老婆が座っていた。
エ「えぇ、昨日来たばかりで」
老「あちらのお方は恋人さんかの?」
そう言ってルフィを示す。
エ「い、いえ!友達です!!」
老「おや?そうかい、それはすまないね。あたしゃてっきり恋人さんかと」
エ「いえ、大丈夫です。ところで、これってなんですか?」