第3章 〜一味との時間〜
ル「ふぁ〜〜、腹減ったぁー」
今は7時頃、キッチンでサンジくんが朝ご飯を作り終わるのをルフィと待っているところである。
サ「わかったから大人しく待ってろ。少しはエミリちゃんを見習え」
ル「ん〜〜…」
ルフィはまだ眠気がとれないのか、時折頭がカクンッ、カクンッとしている。
実はあれから寝たものの、6時頃に目が覚めてしまい、
先程のことを頭から飛ばそうと甲板から海を眺めていたのだが、
途中でサンジくんが起きて来たため料理している姿を観察することにしたのだ。
エ「………はぁ」
自分にしか聞こえないくらいの溜め息を吐く。
エ(ルフィさんは、今朝のこと気にしてないのかな……こっちは気が気じゃないのに…)
さっきからルフィを見ていても、何事もなかったかのようにしている。
さっきのことは夢だったのでは、とこちらが錯覚してしまう程である。
でもまぁ、ルフィが気にしていないのに私だけがずっと気にしているわけにもいかない。
気を取り直してサンジくんの手元の観察に戻る。
エミリは気にしてないんだろうか?
今朝起こされたとき、口から心臓が飛び出るかと思った。
腕や足に伝わってきた柔らかな感触は、寝ぼけている状態でも鮮明に甦る。
ル「んーー……」
顔が赤くなっているのを誤魔化すため席を立つ。
そのままキッチンを出て自室に戻る。
ル「……どうしたってんだ」
エミリに会ってからどうも調子が出ない。
いつものルフィならあれくらいのこと大して気にもせず、ましてやあんな風に動揺することもないだろう。
おまけに頭に浮かぶのはエミリのことばかり。今だってそうだ。
自分のほっぺを摘まんでぐいーーっと伸ばす。
とりあえず、今の段階でエミリが今朝のことを気にしていないのなら自分ばかりいつまでも気にしているわけにいかない。