第18章 Will never let you go…
櫻井side
そんな俺の空気を読んだのか否か
智くんが笑いながらいう。
O:「でしょ?
これね、知念からもらったの。
遅くなったけど誕生日だって。
山田くんと一緒に
選んでくれたらしいよ?」
ちらっと上目遣いで俺を見ながら
カフェラテの注がれたマグカップを
差し出してきた。
O:「簡単に淹れられるのに美味しいの。
ちょっと癖になっちゃって
この頃コーヒーの量増えたかも?」
ふにゃって笑いながら飲んでみて?って
目線を送ってくる。
つられて一口、口にする。
「うまっ!」
思わず出た一言に
嬉しそうな顔の智くん。
O:「ね?おいしいでしょ?
でね、うちにも置きたいと思って…
買っちゃった。
帰り、家に持って行きたいから
車に乗せてくれる?」
あんまり買い物なんてしない人が
買い物をしたってことに驚いたけど…。
なんかわかっちゃったんだ。
きっと智くんなりの
お礼みたいなもんなんだろうな。
別にいいのにさ。
「いいよ、
智くんと一緒に持って帰ろうね?」
俺の一言に笑って頷いてくれたから…
それでいいと思った。
N:「大野さーん!
私のコーヒー、まだぁ?」
O:「あっ、ごめん!今持ってくよ?」
マグカップに入ったコーヒーを持って
リビングに行く智くん。
その後ろ姿をしばらく見ていた。