第18章 Will never let you go…
櫻井side
メンバーも早めに揃ったし器材の準備も
早めに終わったので客入れ前に
撮れる部分を撮ることになった。
いつものようにメイクを済ませ、
いつものようにスタジオに入るのに
どうしてか拭えない違和感があった。
メンバー企画の宮城のロケのVTRをみながら
ワイプに抜かれるのを計算して
カメラに気を配りつつ、
端に座る智くんの横顔をみる。
いつもよりも濃いめのドーラン。
時折みせる疲れた顔。
それなのにスタジオでは
いつもより喋って笑って…。
局側としてはありがたいんだろうけど…
俺には違和感の方が強かった。
宮城のロケも…。
一人のロケなんてしょっちゅうで
最早慣れたものなはずなのに、
やっぱり無理してるのがわかる。
視聴者にはわからないレベル。
多分、みんなは気がついてる。
だからそんな瞬間は敢えて
オーバーリアクションしたり声をあげて
ワイプ越しに音声が入るようにしてる。
このあと、編集されるけど…
そのVのチェックは
かなりきっちりしないと。
そんなことを考えながら目の前のVTRを
見つめていた。
ある程度、回ったところで
少し遅めのお昼になる。
楽屋に戻って今日は出前を頼むことにした。
A:「ねーねー、なんにする?」
M:「蕎麦か中華か、寿司…はないか?」
N:「いくら、スペシャル録ってるからって
さすがにそれはないでしょ?
少しでも経費は削りたいだろうし?」
3人3様の会話を聞きながら
隣を歩く智くんを見た。