第17章 Rolling Days
大野side
「もしもし?」
おいらの応答に聴こえてきたのは…
松兄の声だった。
松:『遅い時間にごめんな?今、平気か?』
松兄が言うほど遅い時間ではない。
「はい、平気です…あのっ」
迷惑かけてすみませんと言おうとした
おいらの声に被るように松兄の声が聴こえる。
松:『雑誌…見たよ。
明日からコンサートだろ?
その…大丈夫なのか?』
「心配かけて…すみません。
あのっなにかそっちに…」
松:『いや、こっちは平気だよ?
櫻井たちは?』
「もう…部屋に戻ってると思います…」
そう答えるしかなかった。
多分、松兄が聞きたかったのは
そんなことじゃないのは百も承知なのに。
松:『そっかぁ。お前は?一人でいんの?』
「はい…」
松:『記事の件、櫻井たち、なんて?』
松兄の言葉が静かにおいらを苛む。
「特に…。ただ、
『明日からコンサートに集中しよう』
って」
松:『やっぱりね…。
あいつら、お前に甘すぎるから…』
松兄がため息をつくように言う。
確かに…みんな優しい。
たぶん、甘やかされてる…おいら…。
松:『大野さ、ちょっと俺、
お前に説教するけど…いい?』
突然、松兄が言い出したことに
頭が追い付かない。
「え?」
松兄がおいらに説教?
松:『マッチさんや東山さんからよりは
マシだろ?』
さっきまでよりも低い声…。
その声に思わず体を縮こまらせた。