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しあわせはここにある【気象系BL小説】

第17章 Rolling Days


櫻井side


俺たちにとっても、ファンの子にとっても
色んな意味で忘れられないライブになった
宮城の4DAYS。

報道が出た翌日、智くんは開演前にライブの
取材にきたマスコミの前で謝罪した。

熱愛記事を報道しなかった新聞各紙も
今回は別で、スボーツ紙各紙が
当たり障りない程度にそのコメントを
記事にした。

その対応を見て、
事務所は全部分かった上で
写真週刊紙への掲載を黙認したんだと
確信した。

本番前、凄く緊張した顔の智くんは
それでも合唱で共演する高校生達や
すずめ踊りの皆さんとの挨拶や、
ZEROの取材には満面の笑みではないけれど
穏やかな表情をしていた。

多分、あの時、智くんは必死に
アイドル・大野智を演じてたんだと思う。

そうでもしないと
立ってられなかったんだろう。

でもその分、メンバーだけの楽屋では
表情を無くし、虚空を見つめてる時間が
多かった。

そんな智くんに俺たちは
どう声をかけていいかわからなくて…。

それでも時間になれば祭りは始まる。

俺たちはステージを必死に勤めながら
チラチラと智くんを見て…
時折、大丈夫と告げるように
智くんに触れる。

会場にちらほら見えるうちわ。
智くんを責める文字。

見ててなんだか哀しくて…。

以前のアンチとは違う気がした。
きっと、昨日までものすこく楽しみに
してたであろう彼女たち。

以前と違ってなかなか
手に入らないチケット…。

どんな思いがそのウチワに
籠ってるんだろう?



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