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しあわせはここにある【気象系BL小説】

第14章 Dear my doctor


櫻井side


暑かった夏も終わり、深まる秋。

車から見る街の風景は
すでに晩秋を感じさせ、
風の冷たさは間もなくやってくる
冬の気配を帯びてる。

外苑の銀杏並木は今年も
綺麗な金色の雨を降らせる。

秋と冬の間を抜けながら
マンションに車を向ける。

今日は赤坂で番組の打ち合わせ。
今、嵐として持っている番組。
何回かのリニューアルを経て
5人で出ることはなくなった。

それはスケジュールの問題だったり、
番組の製作費の問題だったり
社会情勢だったり…。

色々なことが複雑に絡み合った結果、
今のスタイルになった。

視聴率は正直、芳しくない。
俺たちもスタッフさんも頑張っているけど
なかなか難しい。

そんな中、4月の大規模改編に合わせ
番組内容を大幅に変えることが
局側で決まった。

現時点で決まっていること。

嵐としての番組は終了。
後継番組のMCとして
俺だけが残るということ…。

まだみんなは知らない。
近々、伝えられるらしい。

正直、気が重い。
番組が終わることも、
俺だけが残ることも…。

判ってる。
みんなは俺が残ることに文句は言わない。
寧ろ、喜んでくれる。
俺が逆の立場でもそうする。

俺たちは所謂、男の嫉妬的なものはない。
そうやってずっとやって来た。

誰かのレギュラーが決まれば
自分の事のように喜び、応援する。

けど…。

《俺たち》の番組が《俺》の番組になるのは
はじめてのことで…。

うまく言えない重さがのしかかる。


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