第13章 Childhood's end
大野side
上着を脱ぎ、ソファーに座り
クッションを抱え、肘掛けに凭れ
ボーッとしてる和。
ソファーの前のローテーブルに
つまみと酒を置く。
さっきの店で飲んだとはいえ、
さすがに先輩の前だし、
状況を考えるとおいらも和も
そんなに飲めなかった。
「か~ず?疲れた?
大丈夫なら飲み直そう?」
言いながら和の横に座る。
N:「ん。………智…今日は…ありがとう。
隣に居てくれて…助かった」
大きく息をつきながら和が言う。
グラスに焼酎を注ぎ、和の前に置く。
「あの人…黒田さんって…」
それ以上言えずに口ごもる。
N:「そう。智、知ってるでしょ?
俺が小学生の時虐められてたの。
あいつね、その首謀者ってか
先頭に立ってた奴」
「ごめん、和、もういいから」
和の辛い過去を
これ以上思い出させたくなくって止めた。
けど…。
N:「少し聞いてもらってもいい?
そんな楽しい話じゃないけど…」
和はグラスの焼酎を飲みながら言う。
おいらは小さく頷いて和を見た。
N:「そんな心配そうな顔、しないでよ。
正直、あの瞬間まで
思い出さなかったしさ。
確かに驚いたけどね。
世間って案外狭いね。
まさかあんな形で
会うとは思わなかったよ。
俺の勘、けっこう鋭いかも」
そういって笑う。