第2章 甘いkiss
大野Side
S:「ごめん」
翔ちゃんの声?
なんで謝ってるんだろう?
徐々に意識が浮上する。
あ、そっかぁ
おいらあのまま寝ちゃったんだ…
目を開けるとスーツ姿の翔ちゃんがいた。
「翔ちゃん?おかえり」
さっきテレビで見たままの姿だったから
一瞬夢かとおもった。
S:「遅くなってごめんね。
待っててくれたの?」
翔ちゃんの問いかけに答えながら
翔ちゃんの姿を見て
急いで帰って来てくれたのがわかった。
いつもなら衣装のまま
帰ってくることなんてないから…。
次の瞬間おいらは翔ちゃんの腕の中にいた。
おいらの手からお守りの小瓶が滑り落ちる。
お守りよりもずーっと強く
おいらを支えてくれる腕…。
ごめんという翔ちゃんに大丈夫と
言いながらおいらも腕に力を込める。
髪を撫でる翔ちゃんの手のひらに
うっとりしながら翔ちゃんを見る。
翔ちゃんがくれるキスが
言葉よりも雄弁に語ってた。
『大丈夫…
ひとりになんかしないから』
翔ちゃんの舌が入ってくる。
口の中を自在に動く。
舌で口の中を愛撫される。
おいらのお守りの味が翔ちゃんにうつる。
甘いKiss。
金平糖よりも甘いKissが
おいらの寂しさを溶かす。
部屋を支配するKissの音。
もうテレビの出すザーと言う音は
聞こえない。
一人では絶対に出せない湿ったKissの音が
一人じゃないことを教えてくれる。