第2章 甘いkiss
櫻井side
時間が時間だしできるだけ
音をたてないようそっと中に入る。
さすがに智くんも寝てるよな。
そのまま部屋に行こうと思ったが
ふと見ると、リビングから洩れる灯り。
え?智くん起きてるの?
急ぎながらも足音を立てないという
妙技?を披露しつつリビングへ。
ソファーでまるまる智くんがいた。
漏れてた灯りはテレビからの光だった。
部屋にかすかに響く砂嵐の音。
そっと智くんに近づく。
手に握られた小瓶。
目元に光る涙のあと…。
「ごめん」思わず零れた一言。
ひとりになるのが苦手なのに…。
最近、誰かしらいる事が多かったから
余計にキツかったよな。
握りしめた小瓶。
眠っていても離さないその様子に
智くんの寂しさを見た気がした。
思わず漏らした一言が聞こえたのか、
智くんが身動ぎした。
声を掛けるべきか一瞬、躊躇したけど
このまま寝かせておくわけにも
いかないし…。
やさしく声をかけた。