第11章 Sweet remedy
櫻井side
翌朝、出掛ける前に
リビングのチェストの前に立つ。
引き出しを開けて小瓶を取り出す。
少し減った中身を補充する。
やっぱりまだまだ必要みたい。
なんだかわからないけど笑みが零れる。
後ろから声が掛かる。
O:「翔ちゃん、時間だよ!
そろそろ出ないと」
智くんの声。
「あっごめん!行こう!」
そう言ってそっと引き出しを閉める。
結局、あのあとマネージャーから
電話があってやっぱり智くんたちの番組、
ゲストを替えて
後日撮り直しすることになったって。
智くんは「そのままでもいいのに」って
言ってたけど局と事務所とスポンサーの
3者の総意らしい。
ホントに酷かったんだなぁ。
思い出しながら外に出る。
外は青空!
「さて、今日も頑張りますか?」
気合いをいれる俺の隣で智くんが笑ってる。
うん、大丈夫!
きっと俺らは歩いて行ける!
甘い甘い魔法の薬。
これからも俺たちのをその甘さで癒して…。
そしてみんなに笑顔を…。
俺にとっては
智くんの、みんなの笑顔が魔法の薬。
泣いても怒っても
最後は笑顔でいられますように…。
祈りをこめて歩きだした。
《おわり》