第4章 アゲラタム
Jun side
頭からシャワーを浴びて
ココに来るまでの道程を思い出す
俺達のいたトコは人気もなかったけど
少し歩けばそれなりに一般客もいて
そんなトコであんな行為して
もし誰かにバレてたら,と思うと
思わず躰がブルッと震える
でもやっぱりたまにはこうやって
外でのデートもしたい…
何かいい案考えなきゃなあ…と思いながら
シャワーを終えて
翔くんの待つところに戻ろうと歩き始めた時
周りが騒がしいのに気付いて
見渡すと俺に視線が集まっていた
潤「やべっ……」
慌てて痛む腰を抑えながら
声を掛けられないうちに走って戻った
少し車が走って停まったのは
オシャレなレストラン
一応深くキャップを被って
翔「予約していた櫻井です」
ウェイターの案内で通されたのは
内装もキレイな個室
小さな窓からは夜景も見えて
潤「すごいね…なんかめっちゃデートっぽい…」
零れたムードも何も無い感想に
翔「初デート,だからね」
優しく俺を見つめる翔くんがいて
潤「ありがとう…めっちゃ幸せ…」
溢れそうになる涙を必死に堪えた
帰りの車内
俺が運転する,と言ったのに
大丈夫だからと助手席に押し込まれて
流れる夜景を見ていると
どんどん現実に帰っているような気分になって
でももう少し一緒にいたい,なんて言えないから
窓を見つめて幸せとともに寂しさも噛み締めた