第33章 フクジュソウ
Jun side
正月なのに,と言うべきか
正月だからなのか…
羽田空港は人で溢れていて
みんなそれぞれ新年を祝う行き先を浮かべているのか
幸せそうに笑っていて
報道陣さえやり過ごせば
俺達を見てる人なんていなさそうだと
ホッと胸を撫で下ろした
せっかく2人きりで過ごせる短いお正月休み
誰にも邪魔はされたくない
記者に写真1枚だって撮られたくない…
潤「向こう雪降ってるかな?」
翔「天気予報では晴れてるって」
小さな声で会話をしながら
スーツケースを預けたりして搭乗手続きを済ませる
会話の中でお互いの名前は絶対に呼ばない
誰にもバレないようにするために決めた人混みを歩く時の計画の1つ
でもこれが結構難しくて
“しょ……ういえばさ?”
とかって噛んだフリをしたりして何度も誤魔化した
その度にこっそり視線を絡めて笑いあった
搭乗のアナウンスが流れて
北海道行きの飛行機に乗り込む
暖かい沖縄とか
いっそのこと海外とか
いろんな行き先を話し合ったけど
せっかく冬だし雪のあるところがいいよねってことで今年のお正月旅行は北海道に決まった
機内に乗り込んで
着いてからめいいっぱい遊ぶために
少し仮眠をとろうと
翔「おやすみ…」
潤「ん…おやすみなさい」
借りたブランケットの下で手を繋いで瞼を閉じた