第33章 フクジュソウ
Jun side
潤「子どもじゃないんだから起きてられるし」
頬を少し膨らませて翔くんを見ると
横目で俺を見てふっと微笑うから
俺も笑いが漏れた
そう言ったものの
隣に翔くんがいる安心感と
車内の温かさで瞼がどんどん重くなってきて
翔「…ん…潤,着いたよ?あと10分くらいで日の出…」
翔くんに肩を揺すられて目が覚めた
潤「ごめん,寝てた…」
翔「この後機内でも寝れるけど…少しスッキリした?」
潤「うん…だいぶ
だから帰りは俺運転するね?」
そう言うと少し
んー…と唸ってから
翔「じゃあお願いしようかな」
髪の毛をふわりと指先で擽られた
やっぱりホワイトデーの夜と違って
元日の朝は人が数人いて…
しっかり帽子とマスクでもすれば
直接見れそうではあるけど…
それよりも
例え窓ガラスを挟んでいても
翔くんと手を繋いで見ていたいから
車から降りるのは諦めた
時計をチラチラ見ながら指を絡めて手を握って…
少しずつ東の空が明るくなってくる
水平線から丸い太陽が顔を出したところで
翔「潤…」
呼びかけられて翔くんを見ると
潤「んぅっ…ん…」
軽く唇が重なって
翔「あけましておめでとう」
潤「あけましておめでとう」
目の前で笑う翔くんが
朝日を浴びて眩しかった