第29章 ラズベリー

Jun side

潤「そういえばヨコが風邪引いたんだって」

翔「え?そーなの?」

潤「うん,昨日…だったかな
局で会ったとき声ガラガラだったよ」

多愛のない話をしながらも
俺と翔くんの間で繋がれた手はしっかり繋がれている

翔「3月になったけどまだ寒いもんな…」

信号が青になってアクセルを踏む翔くんを

潤「翔くんも風邪気をつけてね?」

そう言いながらチラリと盗み見る

もちろんメンバーとか後輩とかだって
運転中の翔くんを見れる機会はないわけではない

でも呑みに行くならタクシーだし
なかなか長時間見れることってないと思うんだ

だから助手席は俺の特等席

普段だってもちろんかっこいいけど
運転中に横から見る
ちょっと真面目な顔した翔くんは
俺だけが見れる翔くんだから…

翔「潤も気をつけろよ?」


着いたよって車が停められて
脱いでいたキャップを深くかぶってから車を降りる

同じようにキャップをかぶった翔くんの背中を

翔「行こうか」

ちょっと目線を下に向けて追いかけた

久しぶりの外のデートはワクワクするけど
知り合いがいないかちょっと気になる

でも半個室になった席に通されて
窓からの景色を見たとたん

潤「うぁ…綺麗だね!」

目の前の夜景に意識を奪われて
思わず声をあげた