第29章 ラズベリー
Sho side
駐車場に車を止めて潤を待ってると
キャップを目深にかぶった潤が
遠くから颯爽と走ってくる
目立つから走るなよ…
それでなくても人目を引くフォルムとオーラ
潤の周りがキラキラ見えるのは俺だけなのかな…?
慣れた手つきで素早く助手席に乗り込んで
潤「ただいまっ…迎えに来てくれてありがと」
と,天使の笑顔を俺に向けてくるから
抱きしめたいのを我慢した
30過ぎて…なんて可愛いんだろう…
翔「おかえり,お疲れ様」
抱きしめる代わりにそっと手を握って
反対の手でエンジンをかけた
スタジオの駐車場を出ようとすると
ちょうどニノがマネージャーの車に取り込むところで
翔「やべ…」
少し手前に車を止めてやり過ごした
潤「危なかったね…」
翔「今日ニノとだったんだよな…忘れてた…」
悪戯っぽく笑う潤に俺も笑顔で返した
今迄も何度か危ない時はあったけど
なんだかんだバレずにここまで来てる
気を緩めないようにしないと…
二人の時間を守りたいから
潤の手をギュッと握り直して
再び車を動かした
潤「どこに行くの?」
翔「この間,紹介してもらったレストラン…半個室だけど景色が良いんだ」
潤「紹介って誰に??」
翔「長野くん…」
やっぱり?と潤が笑う
オシャレなレストランで食事…も
業界関係者がいないかヒヤヒヤするから
最近は少なくなっていた
でも…今日みたいな日はね…
潤にゆっくり座って食事してもらいたいし
翔「食べた後は久しぶりにドライブでも行こう?」
潤「やったっ,デートだねっ」
翔「ホワイトデーだからね?」
たまには外でデートして
ドキドキするのもいいかな…