第28章 レッドゼラニウム
Sho side
「お疲れ様でしたー」
やっとの思いで収録を終えた
スタッフや関係者に挨拶をして
スタジオを出ると
ふぅ…と思わず深いため息が出る
潤と喧嘩した時の収録はいつもそう…
喧嘩しても…会わない,顔を見ない
という選択肢を選べない俺達
それに,観客や視聴者に
そんなことを悟られてはいけない
特に,俺達は仲の良いグループだから
喧嘩なんてしないグループだから
たとえプライベートで何があっても
それを態度に出すことは出来ない
…仕事にプライベートは持ち込まない…
解ってはいるけど
やっぱり毎回,簡単な事じゃなかった
視線が絡むと,どちらからともなく逸らす
コメントの受け答えもぎこちないし
2人同時にしきり始めたり
不自然なやり取りが続く
雅「翔ちゃん,今日調子悪かった?なんかあったの??」
雅紀にまで心配される始末…
翔「そーかー?大丈夫だよ?フォローありがとな~…」
軽くかわして楽屋に戻った
…なにやってんだろ…
一人になって冷静に考えたら
こんなくだらない喧嘩はないと思う
…思うのに…
〔斗真と飲みに行く〕
そんな短文だけを送ってくる潤に
また憤りを感じてしまう
俺と仲直りするより
友達との呑みかよ…
普段は気にならないことにまでイライラする
雅「翔ちゃーん??顔っ,怖いよ??飲みにでもいく??」
このあと無いなら行こうよっ!と
半ば強引に連れ出された
〔俺も今日は雅紀と飲んでくる
次のオフは来週だから〕
いつもより短めのメールを潤に送った