第16章 ニリンソウ
Jun side
明日も早いからそろそろ,と
斗真の一言で店を出た
この間あんなにモヤモヤしてたのが嘘みたいに
終始笑いあっていれて
誰にも認められない恋だと思っていたけど
こうして受け入れてくれる人もいるんだ,と
その幸せを感じた
「また呑もうな」
3人でそう約束して
翔くんとは別れて斗真と一緒にタクシーに
乗り込もうとすると
「お前あっちだろ」
そう言われて
さっさと1人で帰っていった
それを後ろから見ていた翔くんに
潤「置いていかれた…」
と言いながら歩いていくと
翔「俺ん家帰ろう」
笑いながらタクシーを止めてくれて
それに2人で乗り込んだ
行き先を運転手に伝えて
アルコールで少し火照った躰をシートに預けると
ポケットの中で携帯が震えて
[熱い夜を過ごしてね♡]
その斗真からのメールに
潤「ハートとか気持ちわる…」
そう呟いてみたけど
心はあったかかった
潤「ただいまー」
もう慣れた挨拶を口にしながら
リビングに入ると
翔「潤…」
後ろから抱き締められて
その少しだけ甘えたような声に嬉しくなる
斗真の前では優しい兄貴で
メンバーの前でもしっかり者の櫻井翔で
…翔くんのいろんな姿を見れるのは
これからも俺だけだと思えるから
俺だけがずっと翔くんの特別だから
抱きしめられた腕の中で向きを変えて
アルコールで少し赤くなった頬にキスをした