第12章 ケイトウ
Sho side
潤「え…ここ…?」
戸惑う潤の声を聞きながら
ホテルのエントランスの前を通過して
そのまま駐車場へ入った
東京のど真ん中にある
誰もが名前くらいは知ってるホテル
外国の要人も利用するような
安全もプライバシーも守られた場所
それでも堂々と二人で入っていくのも目立ちすぎるから
駐車場の小さなエレベーターからそのまま部屋に上がる
潤を迎えに行く前に
一人でチェックインだけはすませて
鍵は預かっていた
ようやく祝うことができる
“記念日”に
誰の邪魔もされたくないし
万が一,写真でもとられて
水を差される様な事も避けたかった
他にも候補はあったけど
一度泊まってみたかった…
翔「この部屋だよ…」
潤「っ…ここ?!」
ホテル内のプレミアムタワー最上階
“インペリアルルーム”
鍵を開けて部屋に入ると
予約した俺自身も驚くほどの広い空間が
目の前に広がっていた
ポカンとしている潤の手を引いて中に入る
翔「ここね…MJが泊まった部屋なんだって」
潤「…っマジで!?ホントに!?スゲー!!」
突然子供みたいにはしゃぎだして
部屋中を歩き回る
思った以上に喜んでくれる潤が愛おしくて仕方ない
潤「翔くんっ!!見て!お風呂!ジャグジー!!ってかバラ!!」
興奮しすぎて単語だよ…
一番奥の部屋にはキングサイズ?と思われるベッドがあり
その横のガラスのサイドテーブルには注文しておいたモノ…
“ 5th anniversary ”
と書かれた大きな花のモチーフが飾られていた
潤「翔くん…すごすぎ…」
さっきまで無邪気な笑顔で動き回っていた潤が
ベッドの前で立ち尽くして
ギュッと抱きついてきた