第11章 デイジー
Sho side
翔「はぁ…」
頭からシャワーを浴びて
今までのやり取りを思い返す
“どれだけ好きか”なんて
目に見せて表せるなら苦労しない
潤が俺をちゃんと見てくれて
俺のために飯作ってくれたり…
ちゃんと好きでいてくれてるのは
もちろんわかってる
でも,真っ直ぐに愛情を表現してくれる潤とは違って
俺の気持ちは根が深い…
潤にだってすべてをさらけ出すことはできないくらい
歪んでるんだと自分でも思う
普段はそれを理性でめいっぱい抑えてるだけ
だから…
いくら“イイところ”を
好きだと言われても…
ずっと見てきた,と言われても
それで潤の方が俺のことを好き,と
イコールで結ぶことはできないし
やっぱり…
“わかってないな”
と思ってしまうだけ…
翔「はぁ…」
そうは言ったって
こんなこと言いあっても仕方ないし
たぶんあの様子じゃ潤も引かないから
納得したフリをしておくしかない…
そう自分に言い聞かせて
浴室を出た
用意してくれたスウェットを着て
リビングに戻ると
潤はまだキッチンに居た
翔「風呂…ありがと」
覗いてそう伝えるけど
返事が返ってこない
翔「水…もらってもいい?」
なるべく柔らかい声で伝えるけど
やっぱり無言でペットボトルを差し出された
洗い物を始めた潤の背中に近づいて
呼びかけてみても振り向かない
ふぅ…とため息をついて
躰に手を回す
翔「ごめんって,そんな怒んなよ…」
務めて明るく言ったのに
潤は俺の手を振りほどく
潤「そんな溜息ついて
ご機嫌取らなくていい…」
子ども扱いしないでよ,と
その場を追い出された