第11章 デイジー
Sho side
絶妙なタイミングで潤から連絡が来て
しかも俺が伝えようとしていた内容が
そのまま電話越しに聞こえて
今まで感じていた疲れなんて
跡形もなく消えていた
すぐ行く,と伝えて
楽屋を出てタクシーに乗り込んだ
夜食まで用意してくれてるなんて…
愛されてるなぁ…と
嬉しさを噛みしめながら
にやける顔をマスクで隠した
インターフォンを押すと
すぐに応答があって
オートロックが開く
もう潤の家に来るのも慣れたもので…
色々荷物も置かせてもらってるから
手ぶらで来てもなんの問題も無かった
玄関のドアが開いて
笑顔の潤が迎えてくれる
潤「おかえり,お疲れ様!」
翔「ただいま」
玄関の扉を閉めるなり
靴も脱がずに潤の頭を引き寄せた
潤「んんっ…も…翔く…んっ,ふぁ…もぅ…靴くらい脱いでよ」
俺を柔らかく押し返し
「ご飯で来てるよ」と可愛く笑う
ホントは飯より潤が欲しいけど…
そんな思いを隠しながら
潤を背中から抱きしめたまま
リビングに向かった
潤「はい,座って待ってて?」
ダイニングテーブルに座らされて
キッチンへと離れていく潤を見送った
仕事の疲れと
思わぬオフで気が緩んでるのか
それすら少し寂しいと感じる
子供か…
と苦笑しながら
こっそり席を立ちキッチンを覗いて
手早く準備をする潤を見ていた