第8章 マリーゴールド
Sho side
俺の躰に赤く印を残し
「コレでおあいこね?」と笑った
その笑顔がいつも通り可愛くて
愛おしい
抱きしめたい
…でも…
笑い返すこともできずにいると
顔を覗き込まれて視線が絡む
潤「ね…俺,悪いとこ直すから…
なんで怒ってたの……?」
真っ直ぐな瞳でそう聞かれて
思わず首を振った
翔「潤は悪くない…」
悪いのは俺…
子供みたいに
独占欲を丸出しにしただけ
潤「…でも怒ってたでしょ?」
翔「怒ってない」
視線を逸らすと
両手で頬を挟まれて
無理矢理視線を戻された
潤「翔くん!俺…弟じゃないよ?」
え…?
潤「恋人…でしょ?」
確認するように首を傾げるから
頷いた
潤「なんでも話してよ…もう翔くんに守られてるだけの子供じゃないよ…?」
「どんなことでも話してくれた方が嬉しい」と微笑みながら呟いて,唇を寄せてきた
その温もりに涙が溢れる
俺…こんなに泣き虫だったか…?
でも今は潤がすごく頼もしく見えて
甘えたいとさえ思う自分がいた
涙を優しく吸い取られて
また視線が絡む
透き通った瞳に縋るように
ゆっくりと想いを言葉に変えた
傷つけたいわけじゃなかった
ただ…愛したかっただけ…
人目を気にせず笑いあいたかった
潤の行きたいところに行きたかった
堂々と潤を好きだと言いたかった
でもそんな事できるわけもなくて…
せめて少しでも傍に居たかったのに
その場所にはいつも智くんがいた
どうにもやるせなくなって…
今までため込んでいた不安が
一気に流れ出た…
ただ一言「傍に居て」と
言えれば良かっただけなのに…