第8章 マリーゴールド
Sho side
諦めかけた時
「…はい」という
沈んだ声が聞こえた
まず居てくれたことにホッとして
でも声が沈んでいることに
不安になりながら部屋に向かった
玄関に着くと
見計らったように扉が開いて
笑顔の潤がいた
潤「翔くん,来てくれたんだ…嬉しいっ」
無理して笑うその顔を見て苦しくなる
そうさせているのは
まぎれもなく自分だと
わかってるから…
潤「なんか作る?…あ…って言っても今日は材料が…」
明るく振舞いながらキッチンに入って行こうとする潤の手首をつかんだ
潤はびっくりして俺を見てる
でも…掴んだはいいけど
なんて言ったらいいのかわからない…
智くんと仲良くするな
なんて言えない
なんでメールをすぐ返さなかった?
なんてつまんない事言えない
俺と居て楽しい?
普通のデートしたいのか?
俺のコトどれくらい好きなんだよ?
言えない言葉ばかり溢れてくる
潤「…いたっ…」
潤が呟いた声に
びっくりして手を離した
見ると潤の手首が
少し赤くなっている
どれだけ力を込めていたのか
自分でもわからなかった
…やっぱり来なければ良かった…
このままじゃ潤を傷つけるだけだ…
謝ることもできなくて
翔「やっぱ…帰る」
それだけ言って玄関に戻る
潤「まって!」
今度は潤が俺の腕をつかんだ
潤「翔くん………っっ」
「ごめんなさい」と
言いそうな気がして
咄嗟に唇を押し付け,塞いだ
その勢いでドンッと
潤の躰が廊下の壁にあたる
潤「ぅっ…んんっ…んっ…」
潤の躰を壁に押さえつけて
俺を掴む腕を掴み直して
壁に強く押さえつけていた