第8章 マリーゴールド
Sho side
潤に貰ったキスが
すごく温かくて
自分が潤に与えた強引なキスが
ひどく冷たいモノに思えた
「連絡待ってるから!」と笑って
楽屋を出て行った潤の顔は
笑顔なのに悲しそうで
無理してる顔
俺はなんでそんな顔しか
させられないんだろう…と
自己嫌悪に陥る
愛してるのに…
何よりも大切にしたいのに…
思うようにいかない
予約した店に電話で丁寧に断りを入れてから楽屋を出た
マネージャーの待機してた車に乗り込んで再び携帯を開く
何処にいるんだろう
帰ったかな…
〔家に居て〕と短いメールを送った
「どこか寄りますか?」
マネージャーの問いに「潤の家」
と即答しそうになって
ギリギリで思いとどまった
いつもはいろんなことを考えて
計画的に物事を考えるタイプだと
自分では思ってる
でも潤のことになると
途端に思考が停止する
そういう時は
何をしでかすかわからない…
「櫻井さん?」
マネージャーの声で
思考の渦の中から現実に戻された
「あ…大丈夫…」
それだけ言って回らない頭を必死で動かす
家に到着して
簡単に次の日の準備をして
家を出る
明日…潤はオフ,俺は夕方から
その確認もして
自分の車で潤の家へ向かった
でも
インターフォンを鳴らしても
潤は出なかった