第63章 ウィスキーフロート
Ken side
翔「いらっしゃーい」
玄関の扉を開けると
明るい声で櫻井が出迎えて
リビングへと案内してくれた
斗真もなんだか嬉しそうで
楽しくなってきた
斗真とのことを隠さなくていい場所…
そう思うとテンションが上がる
健「すげー家じゃん」
翔「そーですか?…健くんの家だって広いんですよね?」
広さももちろんだけど
やっぱ二人で暮らす家ってのは
特別な感じがする
2人分の生活感は
俺の家に斗真のモノが置いてあるのとはやっぱり違う
健「いいなぁ…」
思わず呟くと
櫻井が眉をさげて笑った
翔「健くんもそんなこと言うんですね?」
健「俺をなんだと思ってんのよ」
翔「自由人…?」
健「おまえね…俺先輩だけど…?」
笑って謝る櫻井にお仕置きしといてやった
たしかに束縛されるのは嫌いだったけど…
斗真とだったら悪くないかも…と思う
なんだか悔しくなって
無性に斗真に触りたくなった
見るとキッチンで松本と楽しそうに談笑してる
…だから斗真は俺のだっつーの…
俺はチューされて放心してる櫻井を置いて
キッチンに割り込んでいった
健「お前斗真とくっつきすぎ~」
潤「ぅわっ…ちょ,狭い…くっついてませんよ!」
松本をキッチンから追い出して
斗真に向き直ると
少し頬を膨らまして
可愛い顔で俺を見ていた
健「何?」
斗「さっき…翔くんにキスしてませんでした?」
…やべ…見られてた…
視線を泳がせてるうちに
俺の唇に温かい吐息が触れる
健「っ……不意打ちはずるい…」
斗「俺以外の人とキスしないでくださいね?」
優しい顔で念を押された
…今までだったらこんなの言われても気にしなかったけど…
斗真だと…
なんか違う
斗「健くん…?」
俺の返事を待つ視線…
健「わかってるよ」
なんだか直視できなくて
ぷいっと顔を逸らすと
手早く手を洗って
ぎゅっと斗真の方へ引き寄せられた