第62章 カスミソウ
Sho side
いくら子供を預かってるって言ってもさ
俺たちだってオフが重なるのは稀で
やっぱり大事にしたいんだよ…
そんな言い訳を心の中でしながら
潤を抱きしめていると
突然ボンっと大きな重低音が鳴り響いて
スピーカーが割れるようなビートを刻み始めた
翔「なっ…なんだぁっ!?」
「ぅぇ~~」
「ぅるさーーーぃーーー」
虎と龍の叫び声が微かに聞こえた
慌ててリビングに戻ると
スピーカーがものすごい大音量で洋楽を放っていて
耳を塞いで涙目になってる
虎と龍がソファで蹲っていた
潤がラグに転がったリモコンで音楽を止めると
鼓膜がジンジンと揺れてるのがわかった
翔「勝手に触ったらダメだろ!?」
思わず声を上げると
「ごめんなさい…」
「ごめんなしゃい…」
2人はしゅんとしてソファに座り直した
潤「テレビ見たかったの?」
潤がしゃがんで2人を覗くと
小さく頷いた
潤「そっか,じゃこっちのリモコンな?」
龍の頭をポンポンと叩いて
リモコンを渡した
「ぅぅ…じゅんのしゅけぇ~」
今度は虎が涙目で潤を見る
潤「んー?あ…あぁ…やっちゃったな…」
「ぅ…ごめんなしゃい…」
ステレオの音にビビって
虎は持っていたりんごジュースをラグにぶちまけていた
潤「陽虎は濡れてない?」
「うん…」
潤「そっか,じゃぁおかわり持ってきてやるから待ってな?」
そう言って溢した所にテキパキと雑巾を当てて
新しいりんごジュースを虎に持ってきた
「ありがと…」
潤「どーいたしましてっ…もう溢すなよ?」
一連のホームドラマみたいな流れを
俺はポカンと傍観していた
「じゅんのすけ,めっちゃ優しいなっ!母ちゃんだったらゲンコツくらってるよっ」
龍が関心したように腕組みしていた
…だからお前は何様だ…
潤「このラグは小さめだし…洗えるから大丈夫だよ」
「ふふっ…じゅんのしゅけ,やさしーっ」
虎が可愛く笑って潤に抱きつき
頬を寄せた
オイ…それは…わざとか?5歳児…
潤「翔くん…顔が怖いよ…」
不意に見上げてきた潤が
俺を見て苦笑していた
「そうだぞっ!櫻ちゃん鬼みたいだぞっ!じゅんのすけとは大違いだっ」
「さくらちゃんオニー!」
もう…なんか…
好きにしてくれ…
何もしてないのにどっと疲れた俺は
ダイニングテーブルに突っ伏した