第1章 ベコニア
Sho side
翔「じゃぁ,意外と健くんが世話焼きなんですね~…」
「健くん俺のこと大好きだからね」
岡田くんはまた顔色一つ変えずに
そんなことを言う
翔「ウザくなったりしないですか?」
「ないかな…可愛がってもらえるのは嬉しいし」
潤もそんな風に思ってくれてればいいんだけど…
ポーカーフェイスの先輩を見ながら
また潤の顔を思い出していると
鞄の中で携帯が鳴った
あ…やべ…マナーにし忘れてた…
岡田君に謝ってから電話に出ると
申し訳なさそうな斗真が「潤と一緒にいるんだけど…」と話し始めた
潤という名前を聞いて
さっきの岡田くんの言葉が
よぎってドキッとする
『…で,翔くん来れる?』
…は?
いまいちちゃんと聞いてなくて
突然の言葉にびっくりした
『潤がさぁ…翔くん呼べって…うるさくて…』
…え?…潤が…?
『…やっぱ無理だよね?いきなりごめ…』
翔「わかった…行くから,場所どこ?」
斗真の言葉を遮って
場所を聞きだし電話を切った
「どーした?緊急事態?」
あ…しまった…先輩と飲んでるのに…
「ふっ,いーよ,そんな顔すんなって」
そんな顔…?
「愛おしい人,なんかあったんだろ?」
翔「へ…ち,違いますよ!!」
慌てて否定したけど
岡田くんは笑うだけだった
そんなんじゃないけど…
とにかく行かなきゃ…
謝り倒して会計を済ませ
お金はいいって言う岡田くんに
さらに頭を下げて店を出た
「気にしなくていいから,今度嵐と飲み会セッティングしてよ」
岡田くんは爽やかに帰って行った
一個しか年が変わらないのに
すごく大人に見える
俺もあんな風に
頼れる兄貴になれればいいのに…
ふぅ…と息を吐いて
タクシーに乗り
斗真に言われた店へと向かった