第58章 ストック
Jun side
「「乾杯っ」」
久しぶりに斗真と二人きり
いつもの居酒屋でグラスを重ねた
グラスの中のビールを流し込んだ斗真は
俺を見て…ニヤニヤしてる
潤「なんだよっ…」
睨みつけるように言っても
斗「べつにー?」
ふふっと嬉しそうに笑う
ああっ…もう…
潤「悪かったよ…迷惑かけましたっ…」
あの日…自分がコントロールできなくて
斗真に泣いて縋った記憶があるから
どうしても照れくさくて
吐き捨てるように言うと
斗「別に迷惑なんて思ってねーよ」
テーブルの上の枝豆を口にいれながら
いきなり真面目なトーンで言われるから
俺も顔をあげて斗真を見た
斗「ま…お前の知りたかったことは教えられなかったけど…でも俺は頼ってくれて嬉しかったよ?」
さっきとは一変
真剣なトーンでそんなことを言われて
最近緩み気味の涙腺がまた涙を出しそうになった
潤「…そんなことねーよ…お前がああやって言ってくれなかったら…翔くんに聞けてなかったと思うし…」
そう言うと
ふっと斗真が笑って
斗「役に立てたならよかったよ…なんかあったらいつでも話くらい聞くから…だから“斗真ー助けてー”ってまたいつでも来いよ♪」
後半またふざけた口調で言うから
潤「っ…助けてなんて言ってねーよっ!!」
俺もいつの間にか笑顔になっていた
心の中ではほんとに感謝もしてるけど…
やっぱり恥ずかしいから
斗真の作ってくれるこの空気がありがたかった