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センニチコウ-変わらない愛を永遠に-

第58章 ストック


Sho side

和「やっぱ変だよ…」

俺たちはダイニングテーブルを囲んでソファで眠ってしまった潤に視線を送った

和「記憶が抜け落ちたって言うなら,あんなにライブの細かい事まで喋れるわけないんだから」

ニノが腕を組んで珍しく少し苛立っていた

雅「記憶障害にも色々あるんじゃない?特定の事だけ忘れちゃうとか…」

和「聞いたことないよ…そんなの」

雅「例えばの話っ…」

潤の記憶の中で俺だけが削除されてる
俺は簡単に忘れてしまえるような存在だったんだ…と言われてるような気がした

翔「でも…仕事や生活の事はだいたい思い出してるみたいだし…皆のおかげだな…ありがと…」

俺は席を立った

本格的にこの家を出ることを考えよう…
お互い…一人暮らしに戻るだけ…

俺の事さえなかったことになれば
潤にとって何の問題もないんだ…

和「諦めんの?」

ニノが俺の腕を掴んだ

和「…潤くんを捨てるの?」

捨てる…?俺が…?
消されたのは俺だよ…

雅「ニノっ…そんな言い方っ」

智「かず…」

和「うっさいっ」

ニノの瞳から涙が零れていた

俺はその綺麗な滴を睨んだ

これ以上傷つけ合うのはうんざりだ…

そう思うのに
ニノの瞳が俺にそれを言わせまいと
抱きしめるように捉えていた

和「俺は諦めない…」

俺を掴む手に力が籠った

和「2人の想い出を無かったことになんかしない…」

ニノの言葉が…
せき止めていた俺の感情を溢れさせた

その場で子供みたいに泣き崩れる俺を3人が優しく抱きしめてくれた

智「大丈夫…」

智くんの手がすべてを包むように
崩れる俺の躰を支えてくれる

和「何があっても…潤くんを守るって誓ったんでしょ?」

ニノが…潤の代わりに俺の胸を温めてくれる
ぼろぼろに崩れた俺の心の中の芯を
支えて,立て直してくれた

雅「ドラマとかであるじゃん!!事故でとっさに…大事な物を守ろうとして…心の奥に仕舞い込んじゃって…その部分だけ思い出せない…とか…ね?」

雅紀は…俺も潤も…ないがしろにせずに
しっかりと寄り添って自分の事のように涙を流す

潤は俺を消したんじゃない…
守ったんだと何度も伝えてくれた

翔「ごめ…っ…ありがと…」

俺が諦めたらそこですべてが終わる
まだ何かできることがあるはず

でも…ごめん…
今は少しだけ…皆の胸を借りていたい…
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