第58章 ストック
Sho side
翔「謝る必要もないし…潤が出て行く必要もないよ…」
これ以上の拒絶を聞きたく無かった
昨日準備した荷物はまだ解いてない
このまま持って出れば当面困らない
和「翔くん…」
翔「ホテルじゃ躰が休まらないし…俺が出て行くから…安心していいよ…?」
綺麗に笑うことができた
正直,投げやりだった
どうすればいいかわからないから逃げる…
そんな自分が吐き気がするほど嫌だった
和「翔くん…落ち着いてってば…」
ニノが宥める声も
どこか遠くに聞こえていた
潤が俺を嫌がってるんだから仕方ないだろ…?
唇を噛み締めて
荷物を手に取ると
潤の声が背中に刺さった
潤「でも…ここは翔くんの家なんだから…翔くんが…」
翔「ここはおまえの家でもあるんだよっっ…」
“翔くんの家”と言われて
思わず声を荒げてしまった
気付いた時にはもう遅くて…
泣きそうな顔で俯く潤の姿が目の前にあった
和「…翔くん…」
翔「ごめん…」
ここは…俺の家でもないし…潤の家でもない…
“俺たちの家”を作ろう…
そう約束して引っ越した家なんだ…
ピンポーン…と
張り詰めた空気の中に弾んだ音が鳴った
和「はいはい…玄関もあいてますから,どーぞ?」
ニノが勝手にオートロックを解除した
翔「誰…?」
今日は仕事だけど…マネージャーが来るにはまだ早い時間…
戸惑っているうちに玄関が開いて
雅『おっはよ~』
明るい声が廊下から響いた
翔「…雅紀??」
ガサガサと音を立ててリビングの扉が開かれる
雅「今日からお世話になります~…相葉雅紀です」
和「うるさいなぁ…」
雅「はぁ?こっちは仕事の前に急いできてんのっ」
雅紀が明るい空気を運んできてくれた
和「あとで智…大野さんも来ますから…」
雅「嵐の合宿だねっ…なんか楽しいねっ!!」
2人が笑顔で俺達を見る
和「だから,家主が出て行くとか言わないでね?」
ニノが片方の口角を上げて
にっと笑った
…ニノに連絡して良かった…
また涙が溢れそうになった
ぐっと唇を噛み締めると
いきなりおにぎりが顔面に直撃した
雅「怪我するよ?…ほら,松にぃ特製おにぎり♪食べよっ…」
雅紀の優しさと明るさに救われた