第58章 ストック
Jun side
潤「っ…ぅ…ふぅ…っ」
ズキズキとする痛みを逃すように深呼吸をして…
でも痛みと恐怖で溢れ続ける涙がそれを邪魔する…
俺は…翔くんを好きだったの……?
男同士なのに…?
メンバーなのに…?
ぐしゃっと前髪を握ると
目の前にキレイに光る指輪があった…
潤「…っ…ぃたぃ…っ」
それを見るとまた頭痛が激しくなって…
怖さと痛みを取り除くように
薬指に嵌る指輪を引っ張るように取って
指先で掴んだそれを…
どうすればいいかわからなくて棚の上に置いておいた…
そのまま少しの間目を閉じていたら
痛みが和らいできて…
少し頭が働くようになった
潤「…さむぃ…」
落ち着くと痛みで滲んでいた脂汗がひいたからか
躰がぶるっと震えて
クローゼットの中からコートを出して羽織った
…これから…どうすればいいんだろう…
翔くんとの関係を知って…
ここには…いられない…
怖いし…
今の俺は…翔くんのことを傷つけてしまう…
記憶が戻るまで…
落ち着くまで…
いつまでそうすればいいのかわからないけど…
マネージャーに頼んで…ホテルを取ってもらおう…
そこまで考えて…
でも…まだ頭がまだ鈍い痛みを訴えていて
動けなくて…
いつの間にか部屋の床の上で眠りに落ちていた…