第58章 ストック
Jun side
智「翔くん,明後日だっけ?」
翔くんがリオに旅立って数日…
なんだかんだと俺も仕事が忙しくて
今日は大野さんと二人で雑誌の取材
潤「うん,明後日…昼頃かな?帰ってくるよ」
智「そっか…ゆっくり過ごしてね」
大野さんのその言葉は優しくて
思わずきゅっと胸元の服を掴んだ
翔くんが残してくれた痕はほぼ消えてるけど…
今俺の胸には二本のネックレスがかかってる
少しでも翔くんを感じていたくて…
無事に取材を終えて
家に帰りついて…
切れてた酒を買いに行こうとコンビニまで歩いた
いつもの癖で翔くんのお気に入りのツマミも買ったことに内心苦笑しながら
…会いたいな…って思って
また左胸を服の上から掴んで…
コンビニを出て曲がり角を曲がろうとしたとき
目の前が眩しくなった
それと同時に車が目の前に迫っていて
あ……と思ったときには躰が浮き上がっていた
咄嗟に首にかけてるネックレスを守ろうとして
バランスを崩した躰は
頭から地面に叩きつけられた
幸いコンクリートじゃなくて
街路樹が植えられた土の上で…
そこまで痛みは感じなかったけど
起き上がれる気はしなくて……
潤っ…
聞こえるはずのない翔くんの声が
会いたいと願ったせいか頭に響いて
そのまま暗闇に落ちた