第58章 ストック
Sho side
潤に見送られて
2人の家を後に空港へ向かった
リオまでは…
途中で乗り継ぎのため一泊して
10時間×2で…ほぼ二日かかる…
日本の反対側…
物理的距離が遠い…
今までだって
潤のドラマが佳境に入ったり
俺の特番が色々重なったりして
1週間以上二人きりになれない…
なんてこともあった
でも,そんな時でも
テレビを付ければ潤はいるし
週に2回くらいは
レギュラーの収録や
ライブの打ち合わせで顔を合わせた
どこで何をしてるか
なんとなく把握してるし
どうしても会いたくなれば無理をすれば会える…
けど…
「櫻井くん…手荷物預けてくるから…って…すごい量だな…」
マネージャーが俺の荷物を見て苦笑する
翔「あ,いいよ…自分で持っていくから」
俺はスーツケースを二つ,荷台に詰めてマネージャーの後に続いた
「取られないといいね」
翔「不吉なコト言うなよ~」
実際,いろんな人からのアドバイスをもらって大事なモノは持ってきてない
お揃いのアクセサリーも
本当は持って来たかったけど
今回は諦めた
大事な思い出を取られてしまう方が嫌だし…
すぐには会えない距離だから
せめて潤の傍に…何か置いておきたかった
飛行機内の周りの座席は
リオへ向かう同じような取材陣が多くて
見知った顔ぶれで少し安心した
翔「あ,お疲れさまですっ…頑張りましょうね!」
色んな人と挨拶を交わしつつ
ようやく自分の席に落ち着いた
「長いからね…時差も…飛行機の中で調整しないと…」
俺のマネージャーはベテランだけど
初のブラジル行きにソワソワしていた
翔「そだね~…とりあえず…朝食食べる…腹減った…」
「ちょっ…櫻井くんっ…まずいって,明らかに手作りっ…」
翔「えー…?自作自作っ」
小声で焦るマネージャーを横目に
俺は潤の手作りのおにぎりにかぶり付いた
潤の味…
しばらくお預けだから
しっかり味わわないと…
飛行機はあっという間に雲の上に出て
眩しく,刺すような太陽に照らされた