第54章 ラケナリア
Jun side
翔「ほら潤…水飲んで?」
ソファに座らされて
翔くんが水の入ったグラスを手渡してくる
潤「しょーくん飲ませて?」
それを受け取らないで見上げると
翔「もー…」
苦笑しながら翔くんが水を口に含む
多分…きっとこんなこと今までも何回もあった
でも今日はお酒が入ってるせいもあるのか
困ったような顔を翔くんがする…
そんな小さなことも気になって
潤「やっぱいらないっ」
近づいてくる唇から逃れるように顔を背けた
翔「潤?どうした?」
口の中の水を飲み込んでから
翔くんが俺を覗き込んでくる
もっと飲みたかったのに岡田くんが帰ったことも
返事をしなかったのは俺なのに
翔くんからあれ以来メールが来なかったのも
なにもかもが気に入らない…
飲んで楽しかったのに
やっぱりもやもやも忘れられなくて…
潤「…寝る…」
そう言って翔くんの腕を引っ張って寝室に行った
翔「ちょ,潤っ?待って…っ」
足元がふらつきながらベッドにたどり着いて
翔くんを押すようにシーツに倒れ込む
潤「しょーくんも一緒に寝て?」
翔くんが仕事をしてたのも気づいてた
子供みたいなのもわかってる
でも
酔ってる思考は抑えきれなくて
わがままを聞いてくれることで
翔くんが俺だけって思いたくて
勝手に翔くんの腕を枕にして
胸に顔を埋めてしっかり抱きついた