第54章 ラケナリア
Jun side
どうしても確かめたかった
確かめたら余計にもやもやするのかもしれないけど
でもわからないままなんて嫌で
翔くんが楽屋を出た直後
俺もバレないように…
追いかけるように出てその背中を見ていた
でもやっぱり…
見なければよかった…
運転席に山田が乗ってる車の
助手席に乗り込む翔くん
潤「なんで…?なにしてんの…?」
思わずひとりごとが零れてため息も漏れた
あんなの見ちゃったから…
もやもやも止まらないけど
翔くんの視線を全部取り戻したくて
スーパーに寄って買い物をして家に帰った
カップケーキなんかより
翔くんが好きなものは俺の方が知ってるんだから
赤貝の刺身と
簡単にホタテを佃煮風に煮付けて…
酒屋の店員さんに合うモノを聞いて買った日本酒も
徳利にいれて準備した
潤「よしっ…」
飲んでくるのかもしれないけど…
少しでも夜の時間を翔くんと過ごしたい…
山田より…俺の方が翔くんを好きな気持ちは大きいよ…
[待ってるから…早く帰ってきてね?]
作ったツマミの写真つきで翔くんにメールを送って
ソファでドラマの台本を読みながら
翔くんの帰りを待った