第54章 ラケナリア
Jun side
箱の中に二つ入っていたカップケーキ…
明らかに手作りのそれは
きっと山田から貰ったもので…
違うのかもしれないけど
今の俺の頭の中ではそれしか考えられなかった
それでもそれ以上問い詰めることもできなくて
カップケーキを皿に乗せて
コーヒーと一緒に翔くんとソファに座った
翔「いただきます」
潤「……いただきます」
横目で翔くんが一口食べるのを見てから
俺も少しフォークに乗せて口に運ぶ
…おいしい…けど…
誰かの…山田の…
手作りのお菓子をおいしそうに
食べる翔くんなんて見たくない…
翔「潤…?」
気づいたら翔くんをじっと見ていたみたいで
翔くんの声が聞こえて…
慌てて
潤「なんでもないっ…」
口の中のケーキをコーヒーで流し込んだ
でも
帰りにこんな可愛いお土産を持たせてくれたり…
見た目だって山田は俺と正反対で可愛いし…
そういうヤツがいいの…?
ケーキを見てるとそういう気持ちが
どんどん溢れてきて
潤「ごめん…俺もういいや…」
そう言ってからフォークを置いた
翔「じゅん…」
何か言おうとした言葉を
潤「違うよ…怒ってないよ?ただ…今日帰ってきてからちょっと頭痛くて…」
遮って
ごめんと心の中で謝りながら
頭痛で誤魔化して
翔くんの膝の上に頭を乗せてくっついた
鼻に入ってくる匂いが
やっぱり少し気分を落ち着かせてくれる