第54章 ラケナリア
Jun side
たいしたことはきっとないんだ…
そう思っていても
気になり出すと気になって仕方なくて…
一人家で悶々としていると
[飯食い終わったから,もうすぐ帰るよ]
翔くんからメールが届いた
聞きたいことがありすぎて
どうやって返信するか悩んでいるうちに
玄関のドアが開く音がして
翔「ただいまー」
翔くんの声が聞こえてきた
潤「おかえりなさい」
その声に玄関に迎えに行くと
荷物を持ったままの翔くんの腕が伸びてきて
その腕の中に抱き締められた
ふわっと香る翔くんの匂いに
もやもやとしてた心の中が少し落ち着く
翔「連絡遅くなってごめんな」
解かれた腕から荷物を受け取る
潤「大丈夫だよ
ご飯楽しかった?誰と食べてきたの?」
気持ちは落ち着いたけど…
気になるものは気になる…
何気なくを意識して聞いてみる…けど…
翔「ん?ああ…友達とだよ?」
返ってきた返事に
またもやもやが少し大きくなった気がした
あえて山田の名前を出さないのは
やっぱり何かがあったから…?
疑いたくないのに
それが消えていってくれない
潤「…そっか」
それだけ言ってリビングに向かった
そして
翔くんから受け取ったカバンをソファに置いて
ずっと気になってたもう一つの小さな可愛めの箱…
潤「ねえ…これ,なに?」
どんどん考えが悪い方に行くせいか
口から出た声はいつもより低い…気がした…