第54章 ラケナリア
Jun side
潤「お疲れ様でーす」
午前中はドラマの撮影でロケをして
それから赤坂の局で打ち合わせをして
マネージャーの車に乗り込んだとき
見慣れた車が駐車場を出るのが見えた
「真っ直ぐお送りしていいですか?」
バックミラー越しに聞いてくるマネージャーに
潤「ねえ,あの車追いかけて♪」
前の車を指さすと
「え?あ,櫻井さんですか?」
そう言いながら車が動き出した
少し走って翔くんの車は汐留のテレビ局の駐車場に入っていって…
ちょっとだけでも話せたらいいな
くらいの軽い気持ちで
潤「少し待ってて?」
マネージャーの車を降りて翔くんの車に近づくと
明るい茶髪の見慣れた後輩がそこにいた
車の中の翔くんと何か話す声が聞こえて
山田は翔くんの車の助手席に乗り込む
普通に話しかければいいのに…なぜかできなくて
そのままマネージャーの車に戻った
潤「ごめん…お待たせ…家向かって?」
それだけ伝えてシートに沈むように背中を預けた
俺ら嵐と仲良くしてる後輩と翔くん
別に変な組み合わせなわけではないけど
飲みに行くならタクシーなはずで…
それなのに翔くんの車なことと…
山田が助手席に座ったことへの小さな嫉妬
[仕事終わったよー!翔くんはまだ仕事?]
試すつもりはないけど
送ってみたメールに返事もなくて
山田と何してんの…?
翔くんを信じてないわけじゃない
そう言い聞かせながらも
小さな焦りが俺の中に湧き上がってきた