第54章 ラケナリア
Sho side
ピンの仕事が終わって
時計を見ると
待ち合わせのいい時間になっていた
翔「お疲れさまでした,お先に失礼します」
共演者に挨拶をして
駐車場に停めてある車に向かう
乗り込んでから携帯を開いた
〔こっち押してて少し遅れるんで,先に始めててください 二宮〕
ニノからのメッセージを確認して
俺は車を出した
赤坂から汐留へ車を走らせて
局の駐車場に車を入れた
関係者専用の出入り口には
待ち合わせの相手がすでに待っていた
翔「悪い,待った?」
「いえ,今終わったところです…すみません…迎えに来ていただいて…」
翔「全然,むしろ先生はお前だからね,当然ですよ…前,乗っていいよ…ニノは遅れるらしいから」
助手席に促すと
軽やかに乗り込んできた
翔「じゃ,涼介んちでいい?」
「はい,うちでよければ…」
翔「悪いね,ナビよろしくっ」
「はい」
後輩の山田涼介を車に乗せて
涼介の家に車を走らせた
「二宮くんにうちの住所送っておきますね」
翔「あ,そーしてやって…あ,買い物…どっか寄る?」
「いえ,さすがに3人で行ったら目立つと思って,材料は揃えてあります」
翔「まじか,材料費も先生代に含めなきゃな~」
「はは,いいですよ,そんな」
持つべきものはできる後輩だ…
「あ,二宮さん終わったみたいですよ…タクシーで来るそうです」
「OK~~♪じゃ,予定通り2人でよろしく」
他愛もない話をしているうちに車は涼介の家に到着した
「来客用の駐車場…外なんですよ…すいません」
翔「いいけど…おまえ,これセキュリティ大丈夫?」
「そろそろ考えた方がいいですよね~…」
一等地にあるわりに
俺達のマンションに比べたら
だいぶセキュリティの甘いつくりで
先輩としては余計な心配が頭をよぎった
一応周りを確認してから
涼介の後を追ってマンションに入った