第53章 ダイヤモンド
Kazunari side
智が照れながらも
真剣に言葉を繋ぐ
入ってくる言葉は
しっかりと耳に届いて
理解もできるけど
なんだか自分に起こってることが
信じられない…
夢みたいな気持ちだった
智「…これからもずっと俺と一緒に居てください…」
少しうつむき加減で
頭を下げるように俺に言う
そのあとすぐに
ポケットから何かを取り出して
俺に差し出した
ジッと見つめていた智の顔から
綺麗な手へ視線を移した
智の掌には小さなシルバーのリングが二つコロンとのっていた
え…
え…?
もう一度智の顔を見ると
また照れたように眉をさげた
智「手…かして…」
そう言って俺のまんまるい手を取って
薬指にひとつのリングを押し込んでいく
引っかかりながらも
それはぴったり俺の指に収まった
左手の薬指に輝く綺麗なシルバー…
智「かず…俺にも…付けてくれる…?」
そう言ってもう一つのリングを差し出した
おもむろに俺はそれを手にとって
何も言わずに智の指に嵌めた
智がしたように
ゆっくりと大切に…
不意に視界がぼやけて
智の指が見えなくなる
智「かず…」
智の反対の手が俺の頬にあたって
知らないうちに流れていた涙を
拭ってくれた
和「…バカ…」
言えたのはそれだけ…
でもそんな俺を
智はずっと抱きしめてくれた