第53章 ダイヤモンド
Satoshi side
和「智…ありがと…」
半歩後ろから和の小さな声が聞こえた
それに握った手に力を込めて返して…
牧師さんが使っていたであろう…
小さな台の前まで歩いた
智「和也…」
その前に向かい合って立って
恥ずかしくて…
つい逸らしそうになる視線を意識して合わせた
ステンドグラスから差し込む光が
キレイに俺たちを照らしてくれていた
カズもしっかり俺の目を見てくれる
黙って見つめあって…
智「あいしてる」
最初に口から出てきたのは
いっぱい考えてきたはずの言葉じゃなくて
それだけだった
和「うん…」
少し震えて聞こえるカズの声…
智「いっぱい傷つけてごめん…
これからも傷つけるかもしれない…
でも…誰よりも和也が好きだから…それは何があっても変わらないから…
精一杯和也を幸せにするから…」
俺の声も震えている気がしたけど
すぅっと息を吸い込んで
智「結婚とかはできないけど…たくさんの人に祝福してもらうこともできないけど…これからもずっと俺と一緒にいてください…」
一息に言い切ってから
ポケットの中の指輪を二つ
手のひらにのせて差し出した