第51章 カーフ
Masahiro side
昌「…雅紀??」
声をかけてもぐったり凭れてるだけで
ちゃんとした返事が返ってこなくなった
…やべ…
慌てて雅紀の躰を風呂から抱え上げて
濡れたままバスローブを羽織らせて
自分も肩にひっかけて
リビングへ運んだ
昌「まー?大丈夫か?」
ソファに寝かせて声をかけても
まともに返事はなくて
冷たく濡らしたタオルを雅紀の顔にかけた
雅「んー…きもちぃ…」
うわごとのように呟く唇…
そこに、ミネラルウォーターを含んだ俺の唇をあてて、ゆっくりと流し込んだ
雅「ん…っく…ん…」
喉が動いたのを確認して、何度か繰り返した
雅「ん…はぁっ…」
何度目かのそれの後
唇を離すとタオルがずり落ちて
うっすらと雅紀の瞼が開いた
雅「松にぃ…」
手を伸ばして俺の腕を掴む
昌「ん?どした…?」
濡れた髪をかき上げるようにどかしてやると
ポロっと涙が零れた
雅「…めんなさ…ぃ」
小さな言葉と涙…
ドキッと鼓動が跳ねるのを感じた
昌「バカ…なんで謝るんだよ…」
零れ落ちた涙に唇を当てて
火照った躰をぎゅっと抱きしめた
昌「無理させたな…」
悪かった…と謝ると小さく首を振る
雅「松にぃ…お水ちょうだい…」
バスローブの袖口をくんっと引っ張って強請ってくる
赤く染まった頬と
薄く開いた唇から見える赤い舌が
俺を惑わすように誘っていた