第49章 カカオフィズ
Toma side
もう坂本くんじゃなくて
本当に俺だけを見てくれてるんだ…
健くんの気持ちがちゃんとわかって
健「覚悟しとけ」
そう笑いかけられると
躰も顔も…熱くなっていった
それと同時に…涙が零れそうになった
でもそれをぐっと堪えて
握られた手をきゅっと握り返すと
健くんの躰が少しピクっと動いた
まだ…泣けない…
俺も…ちゃんと言わなきゃいけないことがあるから…
斗「俺も…健くんが好きです…」
俺に向けられる瞳をしっかり見つめ返して言うと
健くんの瞳が見開かれた
健「え?だって…坂本くんは…?」
斗「まだ…ジュニアだった頃…俺の憧れはずっと坂本くんでした…話せるだけで嬉しくて…いつも会いに行ってました…」
知ってるよ,と言うふうに
健くんの首が小さく上下に動く
斗「でも…いつの間にか坂本くんと話してるようで…それを通して健くんと話してたんだと思います…」
健「俺と?」
俺の言葉を聞き逃さないように
聞いてくれる健くんに頷いてから…言葉を続ける
斗「だって…健くんのいない坂本くんの隣を想像したとき…何か足りないなって…ドキドキしないなって思って…」
だから…と続けてから
すぅっと息を吸い込んで
テーブルの上で握った手に力を込めた
斗「もう…とっくに俺は健くんを見てます…健くん,好きです…」
もう一度ちゃんと気持ちを言葉にした